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「金継ぎ」

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漆を使った作品を発表してからご相談いただくことが多いのが 「金継ぎ」 です。
先日の伝統工芸展でも、ご質問をたくさんただきました。
最近は簡易的な金継ぎマニュアル本なども出ているようで、意外とチャレンジされているのですね。
私のお話できる範囲でちょこっと書いておこうかと思います。

先ずは、出来た!とばかりにすぐに使用している方も多いようですが、これNGです。
漆は固まってるようでフワフワだから温存期間が必要で、経験で行くと最低3ヶ月以上は見守った方が良い。
ガラスや釉薬面の接着は1年経っても固着しなかったりしますから要注意。
継いだ事を忘れた頃に使い始める方がいいかもしれません。

まぁすぐに使えちゃうのにも理由がある訳で。。。
なんとも言い難いのですが、お話を聞く限り、剥離など上手くいかない最大要因は接着剤使用かと。
接着剤使用が前提の解説本もあるので否定はしないけれど、末長い修復とはいかないでしょう。
「ナンチャッテ・金継ぎ」と申しましょうか・・・ 従来から称される金継ぎじゃないんです、これ。
遊びならばいいけれど、大切な物の場合。
一応、私は工芸家ですので、本来の品に負荷がかかる可能性があるためお勧めしません。

漆は強いといいつつ完品には及ばないわけで、継いだ姿は大切に扱ってもらいたい印なのでしょう。
怪我してます~っていう合図。
負荷がかかった時には、同じところから割れて新たな破損は産まない。これが繕いの信条。
多分、接着剤の瞬発力は相反するのかな?と思います。
接着剤でよければあえて漆を使うことはないのです。
わかり易いお話、接着剤はすぐにくっついて徐々に劣化するのに対して、漆は時間をかけて固着するもの。
相性悪いでしょ?

繕いはステキ。
洋服だって何だって、愛着があるものと長くお付き合いしていけるのだから。
遊びでやってみるのもOK!って思うんです。
ただし。とても大切な物ならば安易な方法はご一考いただきたいと。。。ご参考まで。
by nagi-pott | 2012-11-30 23:48
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